ライナーアンドザ・スカイ


俺達はカラオケボックスの一室で、例のバンド「KS」のメンバーを待っていた。


待っている間に聞いた話。


会長の二番目のお兄さんはこの辺りの頂点に立つ暴走族の「元」総長らしい。

もしかすると、会長がレディースの頭と噂されているのは、兄の佐伯と混同されてしまったからかもしれない。


そして今待っているお兄さんの友達は、同じ暴走族で副総長を務めていたのだそうだ。


そういうわけで。

もしものときは……応戦?


いや、無理です。


「俺、どっちかって言うと肉体派じゃなく頭脳派だから」

「あの高校に通っててよく言えるな」


鼻で笑われた。


「ヒナちゃんだって同じ高校」


あ、この人模試県内一位だった。


「家が近かったんだよ。つーか先輩と呼べ」


指摘された……でも負けない。


「え、電車で通ってるよね?」


成瀬と一緒にご飯を奢ってもらった後、電車で帰ったはずだ。


「それは、引っ越したから」

「そうだったんだ」


ここで会話が途切れた。


隣の部屋から聞こえる音痴なバラードが、この気まずい雰囲気に合っている気がした。




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