ライナーアンドザ・スカイ
五章
届いた想いのその先へ
やかましい音楽が鳴り響く文化祭初日。
俺が思っていた以上に「KS」の知名度や人気は高く、「KS」がステージに上がった途端、複数の模擬店が「休憩中」の札を立てるという事態になった。
客はほぼ「KS」に集中してしまったし、「自分も観たい」という生徒が多すぎたのだ。
演奏が始まって少しして各模擬店の売り子が体育館へ向かう姿を尻目に、俺は会長を探していた。
まるで祭りの後のようなガランとした校舎を上へ上へと進み、四階へ。
今、あの体育館を放ってまで行かなければならない持ち場はない。
あれはきっと後片付けが大変だな。
何故か今日は鈍色に見えるドアを、俺はゆっくりと開けた。