ライナーアンドザ・スカイ
全く手入れのされていない裏庭。
地面から一段高くなったコンクリートの上に二人で立っていた。
「その藪の……
そのへんの木の後ろに隠れててくれ」
隠れる?
「なんで?」
理由も聞かずに「うん、いいよ」とは言えない。
虫いそうだし、痒くなりそうだし。
成瀬だって『藪』って言っちゃってるようなところだし。
「いーから!」
「うわっ」
俺は背中を思い切り押された。
体勢を崩し、転びそうになりながら藪の中を進む。
勢い余って奥の方まで入ってしまったものの、なんとか木に手をついて転ばずに済んだ。
心臓、止まるかと思った。
数秒後、落ち着きを取り戻した俺が怒りの声を上げる、
はずが……
「成瀬くん、かな?」
突然聞こえた女子の声に驚き、タイミングを逃してしまった。