ライナーアンドザ・スカイ
たどり着いたのは、白く大きな近代的な建物。
「ここ?」
「はい」
「こんな所に連れてきてどうすんだよ。
わたし健康体なんだけど」
「どうでしょうねえ。
若いうちから煙草なんか吸っちゃって」
俺は背中を軽く小突かれながら中に入った。
偶然受付にいたクレマツ先生を見つけて声をかける。
「クレマツ先生」
「……広田がつれてきたガキか」
白髪交じりの頭が振り返った。
類は友を呼ぶとは言うけれど。
ひげそりましょうよ。お医者さん。
「腕、お世話になりました」
「俺は何もしてないがな。
またどっか怪我したのか?」
「……いえ、今日はお見舞いに。
まだできますよね?」
「ああ。誰かうちに入院してるのか」
クレマツ先生は後ろにいる会長が気になるらしく、怪訝な目を向けている。
「はい。では。
行こうヒナちゃん」
「ひな?」
クレマツ先生の呟きには気付かないふりをして、会長の手を取り入院病棟へ向かった。