ライナーアンドザ・スカイ


まさか……!


咄嗟に手をついていた木の陰に入り込む。


「成瀬っす。
呼び出してすんません」


やっぱりだよ。


今の声の主は、会長サマらしい。


どういうつもりなんだ?あいつは。


俺にはひとの告白現場を盗み見る趣味なんてないってのに。



しかし告白の邪魔に入る趣味もない。

俺は仕方なく木を背にしてしゃがんだ。

カサカサと小さく音を立ててしまったけれど、二人がいる場所には届かないようだ。



草はしゃがむ俺の肩まで伸びていて、鼻をくすぐられている気分。

草のにおいがする。




< 20 / 220 >

この作品をシェア

pagetop