ライナーアンドザ・スカイ


俺はすぐにその場を立ち去った。

いづれ出てくるであろう会長と、顔を合わせる勇気がなかったから。


卒業アルバムなんて見なければ良かった。

そうすれば、俺は気付かないままでいられたかもしれない。

あの精悍な顔立ちの男のことを知らずに済んだかもしれない。

待っていてくれると言った会長が、本当に俺を好きになってくれる日も来たかもしれないのに。


こうしたことを後悔しないわけがない。

だってもう、そんな日はやってこないのだから。


頭を持ち上げる力も出ず、下を向いて歩いた。


いつの間にか病院の外にいて


「秋山、何してるんだ」


担任と会った。

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