ライナーアンドザ・スカイ


「それで、副会長にききました。
一番知ってそうだったので」


「あいつはなんて?」


「何も言うなって言われました。
会長を守るために、沢山のひとが口を閉ざしてるからって」



担任はそれを聞いて安心したように息をついた。



「あいつが……橘が言ったんだ。
俺は教師失格だ。付き合って欲しいと言ったのは俺だし、佐伯があんなことしたのも俺が部屋に入れたせいだ。同じ教師として、馬鹿な新米の尻拭いをしてくれないかってな」



先生は言い終えると悲しそうに少し笑った。



「秋山の言う通り、あいつは遊んでるふりをしていたし、実際に橘と付き合うまでは結構悪いこともやってたらしい。

それだけにあの事件のことで佐伯を潔白をに見せるのは大変なんだ」




「佐伯のちっぽけな人生守るために、オヤジどもはくたくたなんだぞ」



そう言った横顔はどこか嬉しそうだった。




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