ライナーアンドザ・スカイ


俺に当たりたいのならそうすればいい。

そう思って謝った。


「置いて帰ったのはすみませんでした」


「ほんとだよ!!ふざけんな!失恋の痛み癒すには別の男って言うだろうが!待機してろよ廊下で!」


あ、あれ……


バッと顔を上げて言った言葉に、戸惑う。


「それ、なんかおかしい気が」


と言いかけたところでキッと睨まれ、口を閉じた。


「惚れた女泣かしてやる胸ぐらいあんただって持ってんだろーが!」

「は、はい」


ただただ圧倒されてしまったけれど、よく考えてみるといつもと比べて情緒不安定なのかも。


きっと相当参ってるんだな。


「座りませんか?」


これには何も言わずにきいてくれた。


けれど胸倉は放してくれない。


落ち着いてきたのか、俺の腕の中で大人しくしている。


人になつかない凶暴な猫が、疲れて仕方なく人間の膝を借りているような。

……そんな感じ。


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