ライナーアンドザ・スカイ


バケツと鎌と軍手を渡された。

やる気満々だね。恋する男子よ。


それにしても。

生徒に鎌なんて持たせていいの?

こういうのって用務員のおじさんが機械でブーンって刈るもんじゃないの?


「早く手伝えよ」

しゃがんで作業を始めていた成瀬に催促され、俺も適当なところで刈り始めた。

手伝っていただく身で偉そうなヤツ。
明日は絶対に逃げ切ってやる。

「俺は五時半には帰るよ」

今四時半だから、付き合えて一時間だ。

こんなことに一時間も付き合ってやるんだから感謝してほしい。


「六時に会長が差し入れしてくれるらしいぜ?」

絶対、五時半に帰ろう。

「だからもう三十分……」

「俺がいない方がおまえも有難いだろ」



冗談じゃない。

あんな怖い会長とは二度と関わりたくないよ。



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