ライナーアンドザ・スカイ
一杯になったバケツを見て、腕時計を確認した。
「俺、これ捨ててきたら帰る」
あと十分あるけどね。
立ち上がって大きく伸びをした。
成瀬も大変だな。
冗談抜きでも少なく見て一か月くらいはかかりそうだ。
梅雨に入る前に終わらせないと夏までかかりそうだし。
「ああ。明日も頼む」
「やだよ」
付き合う義理なんかない。
重いバケツを持った。
俺だって「絶賛恋は盲目中」のフォローで忙しくなる予定なんだから。
草むらを抜け出そうと歩き出す。
「あー!おい!」
大声で呼ぶ成瀬を無視して、ゴミ捨て場へと続く校舎の角を曲った。