ライナーアンドザ・スカイ


「いっ」


反射的に痛む左耳に触れた。


「なにして……」


声を荒げそうになって、ぎょっとした。


「待ってるからね」


そう言って笑う会長の手には、黒い小さなひし形のピアス。

俺が左耳につけていたものだ。

無理やり外されたらしい。


「じゃああとで」


俺がピアスを見とがめたことを確認すると、会長はそのまま走って行ってしまった。

< 85 / 220 >

この作品をシェア

pagetop