ライナーアンドザ・スカイ
「それより秋山」
「はい?」
急に声を潜め、眉間にしわを寄せた。
「佐伯とはあまり関わるな」
「佐伯?」
知らない名前。
「さっき話してただろ。仲良さそうに」
……仲良さそうに?
冗談はやめて欲しい。
きっと今、最高に嫌そうな顔してるな、俺。
「会長、佐伯って名前だったんですね」
「知らなかったのか」
さすがに呆れたらしい。
あの有名人の名前を知らないなんて、校内で俺くらいなのかも。
「佐伯陽南、だ。覚えとけ」
担任は、高さ10センチ程に積まれたプリントの山を俺に渡した。
「……でも、どうしてですか?」
関わるな、って。
担任も、知ってるのか?
あの人の別の顔を。
「どうしても、だ」
真っ直ぐに俺を見て、そう言った。