ライナーアンドザ・スカイ
屋上に出て、ドアを閉めた。
「お願いって、何ですか」
会長は俺に背を向けて、フェンス近くに立っている。
風に流され、空へと向かう煙が見えた。
「髪、やって」
振り向いたその顔は少しも笑っていない。
口元に添えられている手には、やはり煙草があった。
「髪って……昨日みたいに?」
「不器用なんだよ」
「はあ」
そんなことか。
昨日食いすぎたことの文句でも言われるのかと思ったのに。
ビビって損したよ。