ライナーアンドザ・スカイ
梳かした髪を手で一つにまとめ、昨日と同じ位置でポニーテールにした。
「会長、ヘアピン持ってません?」
会長は左手でカーディガンのポケットを探った。
その肩の上から差し出された手のひらに三本のヘアピン。
「終わったら返してくださいよ。ピアス」
念押ししてヘアピンを受取る。
「あんたのピアスさあ、女モノだろ?
対になってんのをどっかの高い店で見た気がする」
「そうなんですか」
姉のだから、よく知らない。
男がつけてもおかしくなさそうなものを、って借りただけだし。
まあ、あのひとブランド物とか好きだからな。
そうなのかもしれない。
「で、ピアスホールはひとつ」
「はあ。そうですけど」
確かに、左耳にひとつ。
ひとのどこ見てんだ。このひとは。
「未練がましいな」