ライナーアンドザ・スカイ
「そもそも、ずっと変わらずに続くものなんてあるのかねぇ」
出来上がり、の言葉を待たずに会長は立ち上がった。
「あったとしても、一生かけないと手に入らないと思うし。まあ、『永遠』で愛を語らうのもそれはそれでいいと思うけど」
会長はくるりと体をこちらに向けるとフェンスに寄りかかり、スカートのポケットに空いている方の手を突っ込んだ。
その手は真っ赤な携帯灰皿と共にポケットを抜け出した。
携帯灰皿には煙草が押し込められた。
「私は『ずっと』を願っちゃうほどの『刹那』の方が大事」
目の前のスカートは僅かにはためき、空気は澄んでゆく。
「できたんだろ?髪」
「あ、ああ……はい」
会長は携帯灰皿をポケットに仕舞い、かわりにピアスを取り出した。
「はいよ。手」
促されるままに手を差し出すと、手のひらに黒いピアスが載せられた。