初恋をもう一度
「…美智。あたし、」
「葉月の気持ちは前から知ってたよ。」
あたしが最後まで言う前に、美智はあたしの言いたいコトを分かってた。
隆史の言葉があたしの頭をよぎる。
「あたしさ、知ってて葉月に優クンのこと相談したの。葉月は優しいから、あたしに優クン譲ってくれるかなって。最低でしょ?優クンの気持ちも知りながら、あたしは好きな人の幸せ願うより、自分のコトしか考えてなかったんだ。すっごい醜い自分に、あたしなんて生きてる価値もないんじゃないかって、そう思えた。」
美智の言葉は意外だった。
美智が自殺した理由は、あたしと優樹がくっついたからとか、そんな単純なモノじゃなかったんだ…
もっと複雑で、もっと重い。
美智の痛みが、あたしの中に入ってくるような気がした。
「…そんなことっ、美智だけじゃない。あたしだって、卑怯で醜いよ。優樹と美智が仲良そうにしてるの見て、心ん中はもう嫉妬だらけで、自分のコトしかなかったんだから。生きてる価値がないだなんて、そんなことないよぉ…」
「分かってる。今はもう大丈夫だから。そんなバカなこと、考えてないから。ね?」
泣きだしてしまったあたしに、美智は穏やかな笑顔をくれた。