初恋をもう一度
「…ねぇ、何か怒ってる?」
無言で少し前を歩く優樹にたずねる。
「…隆史と仲いいよな。」
「え?」
小さな声で呟くように言うから、聞き直してしまった。
「だからっ、隆史と仲いいよなって言ったの。夏祭りのあたりからよく2人で話してんじゃん?」
ふてくされたように、少し顔を赤らめながら、前を向いたまま優樹が言った。
もしかして…、これってヤキモチってやつ?
隆史とあたしなんて、色気もへったくれもなくて、絶対何もないのに。
なんか嬉しいような、くすぐったいような。
「隆史だよ?ただの友達じゃん。」
そう言って、あたしは少し前を歩くカップルみたいに、優樹の手を握りしめた。
繋がれた手を、優樹が握りかえす。
あたしの手をつかむ、大きな手。
男の子の手って、こんな大きいんだ。
繋いだ手が熱くて、ドキドキする。