初恋をもう一度


「…葉月。大丈夫?」

気がついたら、あたしの目からは涙が流れてた。

杏里があたしにハンカチを差し出す。

「ごめん、何でもない。」

あたしは杏里のハンカチで涙を拭う。

「…葉月ちゃん。もしあたしの勘違いならいいんだけど。葉月ちゃんがあの子の死に対して責任感じることないからね。あの子の死はあの子自身の責任なんだから。優くんも同じよ。唯一責任があるとすれば、あの子をあんなに弱い子にしてしまったあたしの責任ね。」

そう言って、美智のおばさんは少し切なそうに笑った。

…おばさん。



「あいつの死は、誰のせいでもないよ。事故だったんだ。あいつだって、本当に死ぬなんて思ってなかったんだよ。ガキだったんだ、俺達。」

隆史が悔しそうにそうつぶやいた。


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