P.P.Qには秘密。



今更ながらに考えてみたなら、やっぱり、この人はいい人で。
からかわれたんだと思うけど、ちょっぴりいじわるだとも思ったけど、やっぱり、この人は無惨過ぎるあたしを助けてくれた。

……あたしだったら、やっぱり、くすくす笑いながら通り過ぎちゃうかもしれない。


「あ、……り、がとう」
「ううん、こっちこそごめんね」


何でこの人が謝るんだ。
悪いことはされてないのに。


「あ、あのっ」
「あ、そろそろ時間やばいかも。……またね」


やっぱりさっきちょっといやな態度取っちゃってごめんなさいって。


「あ……」


謝る前に、彼は笑って、走って行ってしまった。


「……またねって?」


自転車を隣に従えたまま、ぽつんと、交差点に残されたあたし。

──始業時間まで、後十五分。



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