P.P.Qには秘密。



仕方ないことは考えても仕方ない。
現実は現実で、急に十歳年を取りたいだなんて、そんな希望は浅はか過ぎて涙が出る。

親子なのに、ママはすっごくナイスバディ。
親子なのに、ママはすっごくお色気むんむん。
外巻きカールで、艶があって、某世界的怪盗アニメを実写化するなら、ヒロインはママでいいんじゃないかと真面目に思うくらいだ。


「……はあーっ」


と、景気よくため息をつくのが七時半なのも、またいつものこと。

指定バッグを無理矢理背負って、スカートをぎりぎりまで上げて、JポップのBGMを十一までボリューム上げて、イヤホンを耳にくっつけて、


「いや、負けるなあたし!」


何に、と突っ込みたくなるような気合いを入れて、ばたーんっとドアを開ける。


「あ、桃ちゃん、もう行くの!?」
「桃ちゃん、お弁当は!?」
「いらないんじゃないのー?」


つぐみちゃん、つばめちゃん、ママの順で、だいたいいつも言われることは同じだから答えない。

答えられなくて、そっちを見ることさえ出来ないあたしは、まだまだやっぱりお子様で、


「いってきまーす!」


聞こえない振りで無駄に大声を張り上げるしかないあたしの気持ちは、やっぱりまだまだ、三人には秘密。



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