PURE ~ずっと忘れない~
タッちゃんの部屋の前に来る。


ゴクッ。


唾を飲む。


ガチャ…。


慣れた感じで、部屋に入ると、すぐ目に飛び込んできたのが

殴られた跡が、痛々しい猛君だった。

「猛…。お前、今迄何処行ってたんだ!ナメた事しやがって!!」


靴を脱いで、ズカズカと部屋に上がり込んで、猛君の胸倉を

掴んで、殴りかかろうとした時、美月が

「もう、止めてぇぇ!」


直樹君の振り上げた右腕を掴んだ。

「美月ちゃん、離せ!!

コイツのした事で、どれだけ、美月ちゃんが傷付いた?

どんな想いで、毎日を過ごしてきた?」

「もういいのぉ…。もう……いい。」

その場で美月が、泣き崩れた。


そんな美月を、猛君が、優しく包み込む様に、抱きしめた。
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