PURE ~ずっと忘れない~
ボンヤリと考えていたら、ドアが開いた。

「亜紀…?」

少しお腹が膨らんだ美月がいた。

「何…で?」

「亜紀ぃ…。」

両方の目から、大粒の涙をボロボロ流しながら、あたしを抱きしめてくれた。

「亜紀、寂しかったでしょ?

一人で寂しかったでしょ?ごめんね…。亜紀ぃ…。」

あたしの服は、美月の流した涙で濡れていた。

誰かに、抱きしめてもらったのって、何日振りなんだろう。
久しぶりに、暖かくなって、あたしの体の中を血が通った気がしたんだ。

「とりあえず、私の実家行く?此処に居ても何だし…。」

大きく首を振った。
あたしの居場所は、もう、此処になってしまってた。

直樹君の側じゃないと、生きてる意味を持たないんだ。

< 186 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop