PURE ~ずっと忘れない~
あたしの知らない、お母さんの事を話すお父さんの横顔…

こんなに長い時間見たのは、何年振りだろう…。

目尻に、深いシワが有った事、今知ったよ?

少し、白髪増えたみたいだね、お父さん…。

「亜紀、柳原君。

妻を許してやってはもらえないだろうか…。

愛し方が下手なだけなんだ…。

不器用なんだよ?

お前の母さんは。」
お父さんがあたしを真っ直ぐ見る。

溢れる涙が、頬を伝い、スカートに落ちる。

柔らかく微笑んだ

お父さんが、スーツのポケットから、ハンカチを取り出してあたしの涙を拭いてくれた。

「亜紀は、小さい時から泣き虫だったから、柳原君、苦労してるだろ?」

直樹君が、少し微笑んであたしの頭を撫でながら、

「もう、慣れました。

すぐ泣くけど、そんな亜紀が可愛いです。」

「親の前で、ノロける?普通。」

お姉ちゃんが、ニヤニヤしながら、直樹君に突っ込んだ。

「ごっ…ごめんなさい。こんな時に。」

真っ赤になった直樹君を見て、お父さんと、お姉ちゃんが笑ってた。

直樹君がいるだけで、違う風が流れるんだね。

こんなにも、穏やかになるんだもん。

有難う…直樹君。


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