PURE ~ずっと忘れない~
その後、お父さんが仕事帰りに寄ってくれた。

「また、亜紀は泣いてるのか?

しょうがないなぁ…亜紀は。ほら。」

スーツのポケットから出したハンカチをくれた。

ハンカチからは、うっすらとタバコの臭いがした。

「だってぇ…お母さんがぁ…。」

「ほらぁ、また亜紀が泣いたぁ。」

と笑いながら、お姉ちゃんが、あたしの顔を覗き込んできた。

「だってぇ…嬉しい…んだも…。」

「あのね、お父さん。

お母さんが、亜紀と柳原君の交際を認めてくれたの。」

あたしの背中を、ゆっくり撫でてくれた。

「そうか…。良かったな、亜紀。」

お父さんの大きな手が、あたしの頭の上に乗った。

どれ位振りかに、笑い合った。

お父さんも、お姉ちゃんも、あたしも、皆、笑ってるよ?

ねぇ、直樹君…。

こんな幸せを有難う…。

あなたが、いなかったら、きっと…。

あたし達は、笑顔を忘れたままだったよ…。


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