PURE ~ずっと忘れない~
「ただいま…。」

「おかえり。亜紀。」

床に置いたボストンバッグを持ってくれた。

「柳原君、帰ったの?」

「うん…。」

久しぶりのリビングは、少し照れくさかった。

出て行く前と同じ匂い…。

四ツ折りにされた、新聞がテーブルに置いてあった。

相変わらずなお父さん。

几帳面に畳む癖…。
「亜紀、オレンジジュース飲む?」

冷蔵庫から、グレープジュースのパックを取り出して、あたしの顔を見た。

お姉ちゃんも、相変わらず。

幼い時から、あたしに何か有ったら、お姉ちゃんが必ず、グレープジュースを入れてくれた。

「有難う…。お姉ちゃん。」


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