PURE ~ずっと忘れない~
もう一度だけ、直樹君の顔を見に行った。

今にも目を覚まして微笑みながら「亜紀」って言ってくれそうな感じの、穏やかな顔…。

そっと、冷たくなった頬に触れてみた。
「ごめん、亜紀さん。そろそろ…。」

「あっ…はい。」

布を顔に戻した。

「ばいばい。

直樹君。また明日ね?」

「亜紀さん、気をしっかりね?

明日は宜しくね?」
「はい…。有難うございます。

それじゃあ、失礼します。」

霊安室を出て、お父さんに迎えの電話をした。


< 285 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop