花言葉
金盞花

束の間の幸せ




今日は、待ちに待った純とのデートの日。

逸る気持ちを抑えて、準備をする。


何を着ていこうか。


純はこういう可愛らしいピンク色の服のほうが好きなのかな?

それともカジュアルなジーンズファッションの方が好き?


鏡の前で自分の体に二着の服を当てて、吟味する。

自然と頬が緩む。


純に会えるのは本当に久しぶりのことだ。


最近彼は大学の単位を取るために勉強づくしの毎日だったから、
気を遣ってデートは勿論、毎日の電話だって彼にすることを控えていた。


勉強の合間にたまに彼が電話をかけてきてくれる時は、嬉しくて仕方がなかった。


彼の声が聞けるだけでこんなに幸せだなんて。
私は彼を溺愛している、と自負している。


周りの友達からは所謂バカップルだなんて言われているが、寧ろそう言われることが嬉しかった。

純もまんざらではなさそうだった。


人に話すと必ず驚かれることがある。
私と純は付き合い始めてから二年程経つが、今まで喧嘩や言い合いをしたことが一度も無いのだ。


相性は最高だと思う。

こんな運命の人に出会えた私は世界一の幸せ者なのではないか、と思ってしまうほど。



そして、今日は久々の純とのデートなのだ。

毎日の絶え間ない努力の結果、無事に彼は単位を取ることが出来た。
彼はとても喜びながら、私をデートに誘ってくれた。


「…やばい、もう時間ないじゃん」


そうこうしているうちに時間は驚くほど速く進み、彼との待ち合わせの時間まで一時間を切っていた。


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