花言葉



「いらっしゃいませ」



私がそう言うと、その人は軽くお辞儀をしてくれた。


少しだけ、嬉しくなった。


その人は店内を軽く見回ってから、レジへとやってきた。


「あの、」

「はい、何ですか?」

「なんかオススメの花とかありませんか?園芸用の花で」


その人は苦笑しながら聞いてきた。

あまり花には詳しくないのだろう、と思った私は個人的に好きな花を勧めることにした。



「では、このゼラニウムなんてどうですか?可愛いお花ですよ」

「ほんとだ、可愛い」


その人の満面の笑顔に思わず私も笑顔になる。

身なりや話し方からして、おそらく真面目で優しい人なのだろう。



「じゃあこれにします」

「何色にしますか?赤や黄色などがありますが」

「んー…じゃあ黄色で」

「ありがとうございます」


私は黄色いゼラニウムを持ってレジへと向かった。


「あ、あの」


後ろから彼が私を呼び止めた。


「はい?何でしょう?」

「分からなかったらいいんですけど…、」

「はい」


「この花の花言葉って、何ですか?」




< 8 / 16 >

この作品をシェア

pagetop