花言葉
「いらっしゃいませ」
私がそう言うと、その人は軽くお辞儀をしてくれた。
少しだけ、嬉しくなった。
その人は店内を軽く見回ってから、レジへとやってきた。
「あの、」
「はい、何ですか?」
「なんかオススメの花とかありませんか?園芸用の花で」
その人は苦笑しながら聞いてきた。
あまり花には詳しくないのだろう、と思った私は個人的に好きな花を勧めることにした。
「では、このゼラニウムなんてどうですか?可愛いお花ですよ」
「ほんとだ、可愛い」
その人の満面の笑顔に思わず私も笑顔になる。
身なりや話し方からして、おそらく真面目で優しい人なのだろう。
「じゃあこれにします」
「何色にしますか?赤や黄色などがありますが」
「んー…じゃあ黄色で」
「ありがとうございます」
私は黄色いゼラニウムを持ってレジへと向かった。
「あ、あの」
後ろから彼が私を呼び止めた。
「はい?何でしょう?」
「分からなかったらいいんですけど…、」
「はい」
「この花の花言葉って、何ですか?」