鬼と龍
「起きろ。」
凪が叫んだ。

うつぶせに倒れていた逢が
(凪の声だ。)

「早く起きなさい。」

(そんなこと言ったって、刀は壊れたし、もう……)
凪が
「あきらめるな!!」

もう一人の自分が笑って、
「女、待っていろ。今、殺してやる。コイツにトドメを刺してな。ククク、」

凪が大きな声で
「逢!!考えるな、感じ取れ!!」

逢がゆっくり体を起した。
(確かにその通りだ。アイツは俺なんだ。俺はアイツなんだ。別々に考えてた。)

もう一人の自分は、刀を向けて、
「ククク、早く死ね!!」

逢が
「俺は、破壊したいと思ってる。」
もう一人の逢
「なら、早く死んで任せろ、俺に……」

「でも、俺は守りたいとも思っている。」

逢の腹に刀が刺さった。
「意味分かんね~よ。」
逢はそのままもう一人の自分を抱締めた。
「ごめん。ずっとお前をみようとしなくて、逃げてばかりで、ごめん。」

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