鬼と龍
雅の家に住み着いて、一週間たった。
雅は明るくて村のみんなの人気者だった。
いつも活発で笑っていた。
魔王の自分が人間の女に引かれるわけがないのに、自然と引かれていた。
(できれば、ずっとこのままでいたい)
っと思い始めていた頃だった。
雅が
「クロ、帰ろ!!」

「あぁ~。雅、」

「うん??何??」

「あのさ~~、………なんでもない!!」
(何言おうとした??自分!!)
クロが雅に目を背ける。
雅が何かひらめいて、家とは逆の方にクロを引張っていく。
クロ
「どこ行くだよ??」
雅が
「私の秘密の場所!!」
クロがわけも分からずついて行った。
日が沈み始めていた。
そこは、村の人がまったく立ち寄らない山の峰だった。
雅が
「ほら!!」
指を指す。
クロがその方向を見る。
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