宵闇
貪るように肌を合わせ、彼があたしの中で果てるとき、いつもたまらなく切ない気持ちになる。
そして、軽い空虚感に襲われる。
それは、この甘い罪の時間が終わりに近づいてることを感じるからかもしれない。
愛し合う場所なんてどこでもいい。
彼を感じられれば、どこでだって。
今日みたいに彼の車の後部座席をはね上げた空間だったり、ホテルだったり。
でも、決してあたしの部屋に彼は足を踏み入れなかった。
それは、暗黙の了解のようなもの。
あたしの生活空間に足を踏み入れるのは、なんだかタブーなきがしていたし、あたしも誘えなかった。
彼との間には、いつも見えない線がある。
線と言うか……キョリが。
それは、彼が既婚者であることで作られている、切れない線、埋められないキョリ。
あたしには、切れないし、埋められないんだ。