宵闇
スタートライン
あの日から、瞬く間に時は過ぎ、2週間が経った。


彼から簡単なメールはあるが、会う約束はしていない。


この関係もすでに2年。


こんなことではいけないと思いながらも、止められないでいる。




彼と知り合ったのは、彼の職場にあたしがバイトとして入ったことがキッカケだった。

まだ20歳のあたしは、彼の大人の雰囲気にあっという間に魅せられてしまった。


低く落ち着いた声。
柔らかな物腰。

同年代の男にはない、空気。

そして、その何か憂いたような瞳に、目が離せなくなった。


彼に奥さんがいるなんて、初めは知らなかった。

彼はまだ27歳だったし、指輪もしてなかったから、気付かなかった。


いつしか、彼をそういう目で見ている自分に気づいた時には、すでに恋に落ちていた。


彼も、そんなあたしの眼差しに気づいていたと思う。




でも、奥さんがいるって知ったのは、後戻りできないところまできた後だった。



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