宵闇
今思えば、彼はあの時どうしてあんなことをしたのか。
結婚していたのに。
彼はズルイ。
こんな迷路の中に知らん顔してあたしを引きずりこんで。
でも、何を言ったって結果的にそれを選んだのはあたし。
抜け出そうと思えばできたはずだから。
引きずりこんだのは確かに彼だ。
でも最終的には自分からここへ足を踏み入れた。
この苦しみは、彼のせいであって、一方で彼のせいではない。
自業自得。
この迷路の出口を探そうともしないで彷徨う道を選んだのは結局あたしなんだ。