宵闇
崩壊
あの日曜から数日経ったある日。
あたしは一方的に、彼に別れを告げた。
でも彼は、意外にもその別れを拒絶した。
毎日、電話が鳴った。
彼からの着信が、メモリーを埋め尽くすくらいに。
だけど、1度も電話には出なかった。
出たら、彼の声を聞いたら、決心が崩れそうで怖かった。
メールでも、彼は幾度となく関係の修復を図ろうとしてくれた。
けれど。
あたしがそれに応えることはなかった。
このままじゃいけない。
彼の幸せを守ると同時に、あたしは自分も守りたかった。
彼には、家庭がある。
守るべきものがあって、帰る場所がある。
だけど。
あたしには何もない。
このまま一緒にいて関係を続けていたって、彼があたしのもとにくることはないだろう。
このままじゃ、罪を重ね、溺れ続けたあたしは、もう自分を抑えきれなくなって狂ってしまうかもしれない。
そして、守りたかった彼の幸せを嫉妬という感情のままに壊してしまうかもしれない。
そんな自分が怖かったんだ。