宵闇
「でも。このままじゃ、あたしがあたしでなくなっちゃう。あなたの幸せを壊しちゃいそうな、そんな醜いあたしがいるの。だから……。そんなあたしが表に出てくる前に。」
「終わりにしよう」
まっすぐに彼を見つめたまま、最後の言葉を口にした。
彼は黙ったまま、小さく深呼吸をすると、その口を開いた。
『終わりにしよう。今日で、最後にしよう。』
『俺はキミを幸せにしてあげることができなかった。どうか、幸せになって……』
最後のほうは声が震えてうまく聞き取れなかった。
でも、確かに彼の思いを受け取った。
<幸せになってください>
彼の、最後の願い。
あたしは、こくりと頷いた。