宵闇
夜明け
あの日から2週間後、日本列島は梅雨明けを迎えた。

清々しいほどの青い空。

ぽっかりと浮かぶ白い雲。


あたしの中にあった闇は、少しずつ形を変えている。

闇に包まれたあの時間は、月がその長かった闇を照らし、新しい道を作り出してくれた。


あのあと、あたしは毎日泣いた。
顔の形がなくなるんじゃないかと思うくらい。

でも。

泣いて泣いて泣いて。

泣き疲れて涙も枯れ果てて。

ようやく前を向いて歩けるようになってきた。

彼の最後の願いを叶えられるように。



まだ、町を歩いていると彼の姿を探してしまう自分がいる。

頭1つ飛び出た人、低い声、似たような車。

すべてに反応してしまうあたしがいる。


だけど、そんなあたしもそのうちいなくなるんだろう

そう思いたい。


彼の幽霊に縛られ続けるなんて、それじゃ幸せになんかなれないもん。




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