宵闇
待ち合わせ場所までは20分ほど。

向かっている途中でフロントガラスにぽつぽつと模様をつけだした雨に、軽く舌打ちをした。


でも、雨は嫌いじゃない。

この罪の時間を、覆い隠してくれるような気持ちになれるから。






あの人には、家庭がある。

そんな、罪と分かっているこの時間に心躍らせるあたしは、存在自体が罪なのかもしれない。


だから、そんな汚いあたしを音としずくでさえぎってくれる雨が、嫌いにはなれなかった。

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