宵闇
いつもの駐車場に着くと、ゆっくりとその一番奥に車を進める。

雨は激しくなってきていて、視界を遮ってはいたがそんなのは何の障害でもなかった。


いつもの場所に車を停めると、ゆっくりと隣に視線を向ける。

決まって、3台隣に彼の車は停まっている。


そして今日も、3台隣に彼の車を見つけた。


と言っても、こんな奥に駐車する人なんていないから、あたしたちの車しかないんだけど。



ケータイを取り出して1番目のペア登録を呼び出す。


彼だ。


発信ボタンを押すと、すぐに彼の声が耳に届いた。



『お疲れ様』


彼の低くてしっとりとした声が心地いい。


「お疲れ様。今、着いたよ」


そう答えると、

『知ってる。こっちにおいでよ』


と柔らかい彼の声がそれに答えた。


濡れることなんて何とも思わない。


早く彼に会いたくて、彼に触れたくて、降りしきる雨の中、3台隣に停まる彼の車へと向かった。



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