宵闇
罪に溺れる
車の窓ガラスが白く曇る。
2人の吐息は、さらに熱く、曇る窓を彩る。
「スキ……」
何度も、キスの間に囁く。
抑えられない感情。
こんなこと言っても彼が困るだけなのに、勝手に口からこぼれ出る。
彼は、あたしがそう囁くたび切なそうに瞳を合わせて、抱きしめる腕に力を込める。
『俺も……』
切なそうに、絞り出すように、耳元でささやく。
いけないことだって、わかってる。
こんなこと、道理に合わないって、人理に沿ってないって、わかってる。
でも、どうしようもないこの気持ちを、どう抑えればいいのだろう。
その答えが見えないから、今日もこうやってあたしは罪に溺れる。
してはいけないこの関係に、酔いしれているだけなのかもしれない。
本当は、どうなのかわからない。
でも、この切ない気持ちは、愛おしい気持ちは、確かにここに存在している。
何もわからない。
そんな、道義的なことから目をそらして、今はただ彼と肌を合わせていたい。
ただ、それだけなんだ。