ピュア *first love*



「部活が終わるの待ってるから、一緒に帰ろうね」

「うん」


作業を終えて、本棚に手をかける彼。私を見つめてきて、胸元まで伸びた髪を右手ですくって唇に当てた。


彼が髪に触れてくる時は、いつもキスをする前だ。


顔が近くて、ドキドキして、窒息しちゃいそう。


「髪……伸びたね」

「こんなに伸ばしたの初めてかも」

「なんで伸ばしてるの?」

相馬くんが綺麗って言ってくれるからだよ……。分かってるくせに聞いてくる。

普段は優しいくせに、二人きりの甘い雰囲気になる時だけ、イジワルになる。



最近気付いた。私にしか見せない裏の顔。



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