ピュア *first love*



体を本棚に押しつけて、右手で髪を耳にかける。そのまま耳たぶを唇で挟んで、囁かれた。


「……好きだよ」

「!」


私の体が震えると、反応を楽しむように耳の中に舌を入れてきた。


「きゃっ!」


彼の吐息とリップ音が、鼓膜の奥までダイレクトに響いて、体中がビリビリと痺れる。


こんなキスもあるの? もう何も考えられなかった。


「や、やだっ」

「あみの顔、かなり色っぽい……かわいいよ」

「もう……やめて……頭おかしくなる……」


顔が真っ赤にほてる。体中が熱でおびていくのが自分でも分かる。


こんな状態になって、私が“やめて”って、言えば、いつもなら止めてくれるのに。



彼は切ない顔で、意外な言葉を口にした。




< 117 / 340 >

この作品をシェア

pagetop