ピュア *first love*



「相手を見て、抱き締めたいとか。キスをしたいとか……それだけじゃ足りないって一度も思ったことはなかった?」


あ。


彼の言葉にハッとする。髪に触れられるたびに、ドキドキしながらキスを待っていたり。


ギュッと体を包まれるように抱き締められて、自然と腕をまわしたこともあった。



「あの時の俺は確かにやり過ぎた。でも、好きなら当たり前の感情だとも思う……俺は、あみが本当に好きなんだ」


何も言えず、ただ黙って彼を見つめる。


「頼むから、お願いだから、別れるなんて言わないで」



彼の潤んだ目を見て、グラグラと気持ちが揺れる。



「あみ……」




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