ピュア *first love*



二宮くんは黙りこむ私を見て、窓の外を見る。


「今日のサッカー部は、学校の外周を走ってるから、グランドにはいないよ?」

「え?」


二宮くん……もしかして、私の考えてること分かってる……?


「鉢合わせしたくないなら、俺が今どこら辺を走ってるか見てくるよ。遠くに行ったところで、ワンコールして教えてあげる」


そう言って、携帯を顔の横で揺らしてニヤリと笑う。


「ありがとう。でも、私、携帯持ってないの。もうすぐ、部活は終わる時間だし大丈夫。もう少しここにいる……」

「だーめ! 暗くなるじゃん。女の子なんだから早く帰りな。昔、この辺で女の子がイタズラされた事件もあったし……」


――ドクン。


イタズラされた事件……。


その言葉に一瞬で、凍り付く私。



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