ピュア *first love*



――ワンワン!!


『何をしてるんだ!』

『……!!』


たまたま犬を散歩していたおじさんに助けてもらって、大事には至らなかったけど……。


犯人には逃げられて、未だに捕まっていない。


警察や両親から、犯人の人相や服装を聞かれたけど、何も答えられなかった。



それから、思い出しては吐く毎日。夜は怖くて、一人で寝れなくなって、お母さんと一緒に寝た。


ただでさえ、男の子と話すのが苦手だった私はこの事件をきっかけに、さらに男の子が怖くなったんだ。



忘れたい記憶。


両親も友達も、私に気を遣って、この話題に触れることはなくなっていたから……。


いつの間にか、私の頭の中からもボンヤリと薄く消えかけていた記憶。


二宮くんの一言で、一瞬にして蘇ってしまった。




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