ピュア *first love*



「田宮さん?」


私の顔を心配そうに覗きこむ、二宮くん。


「……二宮くんの家って確か、私の家と同じ方向だよね? 一緒に帰ってもらっていい?」

「え……」

「もちろん離れて歩いてくれていいの。今の話を聞いたら、一人で帰るの怖くなっちゃって」


だって、変質者に襲われた同じ道を歩いて帰らなきゃいけない。


忘れたい記憶。


でも思い出してしまったからには、どうしょうもない。


私は自分を落ち着かせるために、胸に手を当てて、何度も深呼吸をする。


少しだけ震える手。


多分、二宮くんも気付いていたはず。だけど、何も聞かずに、優しく笑ってくれた。



「いいよ。帰ろう」



私はホッとして、二宮くんと一緒に帰った。




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