ピュア *first love*
二宮くんの数歩、後ろから離れて歩く私。
二宮くんは不機嫌な顔で、振り向いた。
「一緒に帰ってるのに、この距離は、すげー違和感あるんだけど」
「でも……」
こんな田舎の町では、すぐに噂が広まる。
二宮くんと並んで帰ったら、誤解されちゃうよ。
「何も悪いことしてないんだから、堂々としようよ。田宮さんは色々あったからだろうけど、まわりの目を気にしすぎなんだよ」
まわりの……目。確かに敏感になりすぎてる。
「今が一番辛い時期だろうけど、これ以上落ちることはないよ。きっと」
夕焼け空の下。
オレンジ色に照らされた二宮くんは、優しく微笑んで言ってくれた。
その言葉は……きっと誰かに言ってほしかった言葉。私はちょっぴり、泣きそうになってしまった。