ピュア *first love*
立ち上がった彼女の手をつかみ、自分の体のほうに引いた。
不意に触れ合う唇。
長い髪がなびいて、顔にかかる。
甘い甘い香り。
ほんの数秒のキス……。
唇を離して、目を開けると、ずっと目を見開いたままだっただろう彼女の呆然とした顔。
後ろから声をかけてきた女の子達は、叫び声に近い悲鳴をあげた。
あみの顔は、みるみるうちに、赤くなる。
「……っ! 最低っ!」
「え?」
顔を真っ赤にして、逃げるように俺のもとから走り去ってしまった。
唖然とする俺。
俺はただ、俺達の関係を見せ付けてやれば、誰にも邪魔されない。
二人きりでいられると思ったのに。
あみも安心してくれると思ったのに……。
「……はぁ……もう」
失敗。彼女の性格的に、人前でキスなんて逆効果か。
今夜は胸がモヤモヤして、眠れないこと決定だ。