ピュア *first love*



バスに乗り込み、後部座席に座る。座っていても、きっちりと繋いだ手。


この彼の手の温もりは、もうすぐ遠くなるんだ。さみしいよ……。


そんなことを考えいると、心臓が痛くなる。思わず、ギュッと彼の手を強く握り締めた。


「俺もきっと同じ気持ちだよ。だけど今日は忘れて楽しもうよ」


彼の言葉に、胸がキュンとなる。私が手に力をこめただけで、気づいてくれるなんて。


何も言わなくても私の気持ちを理解してくれてる。


そんな人きっと、この世で彼一人しかいないよ……。


彼も繋いだ手を、強く握り返してくれた。



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