ピュア *first love*



誰もいない。


二人きりの空間。


中学生の俺達にはまだまだ先の、天国のような場所。


ため息をつきながら、窓を閉めて、鍵をかける。カーテンに手をかけた時……。


後ろから彼女の小さな両腕が、俺の腹部にまわされ、抱き締められる。


一瞬体がビクッとなるくらい驚いて……硬直する。



「あ……あみ?」


彼女はしがみつくように抱きついてきて、顔を俺の背中にくっつけて隠す。


そして小さな声で呟いた。



「……やめないで」



< 316 / 340 >

この作品をシェア

pagetop