ピュア *first love*



先に進めない。進んじゃいけない。あみは俺をポカンとした表情で見てくる。


「どうしたの?」

「……ゴムないから出来ない」

「ゴム?」


あみは自分の手首に付けていた赤い苺のついたゴムを見せてくる。


「ぷっ……」


……てっ、天然ですかっ!? あまりにも純粋すぎて、肩を落とす俺。


「……ゴムってコンドームのこと」

「え! そうなの!?」


顔を真っ赤にして、慌てて手首を引っ込めるあみが、かわいすぎる。


「ずるい……わざと?」

「なな何が?」

「ゴムなしでも方法はあるって言うヤツもいるけど……かなり危険だから。あみにそんなことできないから、我慢する」


万が一、妊娠したらあみのこの先の人生を狂わせてしまう。最悪、中絶だって考えなくちゃいけない。

もしそうなったら、男の俺は傷ひとつつかないけど、あみは心にも体にも傷がつく。あみとつながりたかったけど、あみの体のほうが何倍も大切だから。我慢しよう。



「……なんでそんなに詳しいの?」


睨み付けてくるあみの目が怖い。余計なこと言わなきゃよかった。



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